こんにちは、Tech Samuraiです。
念願の Nikon Z6III を手に入れ、その圧倒的なスペックに酔いしれていたある日のこと。意気揚々と最高画質である「Apple ProRes 422 HQ (Log)」での動画撮影テストを行っていた私は、モニターを見て愕然としました。
「……あれ、録画が止まってる？」
RECボタンを押してから数秒〜数十秒で、勝手に録画が終了してしまうのです。カメラの故障か？ いや、違う。これはエンジニアとしての勘が告げていました。「データの奔流に、足回りが追いついていない」と。
今回は、Z6IIIの動画性能をフルに引き出すための「記録メディア選び」について、失敗談と検証結果をシェアします。
原因：そのSDカード、遅すぎませんか？
当時私が使っていたのは、手持ちの「SanDisk Extreme Pro 64GB」。写真撮影では何の問題もなく、信頼性も高い優秀なカードです。
しかし、改めてスペックを確認すると、これは「UHS-I」規格のカード。書き込み速度は最大でも90MB/s程度です。一方で、Z6IIIが吐き出すProRes 422 HQのデータ量は桁違い。まさに、細いホースに消防車の放水を流し込もうとして破裂したような状態だったわけです。
「せっかくの高性能マシン、メディアのせいで本領発揮できないのはエンジニアとして許せない」
そう思い立ち、私は2つの解決策を試みることにしました。
解決策1：公式情報を信じて「正解」を買う（CFexpress）
まずは基本に立ち返り、Nikon公式サイトの「動作確認済みメモリーカード一覧」を確認しました。ここで推奨されているCFexpressカードを買えば、間違いはないはずです。
そこで購入したのが、こちら。
Nextorage NX-B2PRO165G (165GB)
ポチップ
検証結果：全く問題なし
さすがは公式推奨、そして次世代規格 CFexpress Type B です。書き込み速度は爆速で、ProRes 422 HQでも余裕しゃくしゃくで録り続けられます。さらに感動したのは、パソコンへのデータ取り込み。ギガバイト単位の動画データが一瞬で転送されるので、編集ワークフロー全体が劇的に快適になりました。
ただ、一つだけ問題があります。
「値段が、高い……」
性能が良いのは百も承知ですが、趣味で何枚も揃えるには、少し勇気がいる価格帯です。
解決策2：あえてSDカードで挑む（UHS-II V90）
ここでふと、疑問が湧きました。
「書き込み速度さえ確保できていれば、必ずしも高価なCFexpressじゃなくても撮れるのでは？」
CFexpressは確かに速いですが、最新のハイエンドSDカード（UHS-II規格）も相当進化しています。もしこれでProResが撮れるなら、コストパフォーマンスは格段に良くなるはず。
そこで、人柱覚悟で購入したのがこちらです。
SanDisk Extreme PRO SDSDXEP-256G-GHJIN (256GB)
ポチップ
これは、裏面の端子が2列になっている「UHS-II」対応で、ビデオスピードクラス「V90」を冠するSDカードです。書き込み速度は最大260MB/sと、以前使っていたカードの約3倍のスペックを持ちます。
検証結果：こっちでも問題なく撮れた！
驚くことに、Apple ProRes 422 HQの設定でも、録画停止することなく撮影が可能でした。
これまでの「ProResなどの重い動画 = CFexpress必須」という私の先入観が、良い意味で裏切られました。
結論：Z6IIIのメディア選びの最適解は？
今回の検証で分かったことをまとめます。
| 項目 | 旧カード (UHS-I) | Nextorage (CFexpress) | SanDisk PRO (UHS-II) |
|---|---|---|---|
| メディア種類 | SDカード (V30等) | CFexpress Type B | SDカード (V90) |
| 書き込み速度 | ~90 MB/s | ~1900 MB/s | ~260 MB/s |
| ProRes撮影 | × 停止する | ◎ 余裕で安定 | ○ 撮影可能 |
| コスト | 安い | 高い | その中間（コスパ良） |
| おすすめ | 写真メイン | 業務・絶対失敗できない時 | 動画メインの趣味・Vlog |
まとめ
絶対に失敗できない仕事の現場や、真夏に超長時間回し続けるような過酷な環境なら、熱耐性や転送速度の余裕で勝る CFexpress (Nextorage) が安心です。PCへの転送速度も圧倒的です。
しかし、Vlogや日常の作品撮りであれば、UHS-II V90対応のSanDisk Extreme PRO で十分に運用できることが分かりました。CFexpress 1枚分の値段で、SDカードなら大容量が買える、あるいは2枚買えるというのは大きな魅力です。
「Z6IIIで動画を本気で撮りたいけど、メディア代は少し賢く抑えたい」
そんな方は、まずは高速なSDカード（UHS-II V90）を検討してみる価値が大いにありそうです。用途と予算に合わせて、最適な一枚を選んでみてください。
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