こんにちは、Tech Samuraiです!
Gitでコミットメッセージを書くとき、「この変更は後方互換性を破壊する、大きな変更だ」ということを、どうすれば他の開発者に明確に伝えられるだろう?と悩んだことはありませんか?
今回は、モダンなGitプロジェクトで広く採用されているコミットメッセージの規約「Conventional Commits」において、このような「大変更」や「破壊的変更 (Breaking Change)」を表現するための、スマートな作法を探検します。
このルールに従うことで、あなたのコミット履歴はただの記録ではなくなり、変更履歴(Changelog)の自動生成や、ソフトウェアのバージョン管理を自動化するための、強力な武器となります!
ステップ1:まず、変更の「種類」を選ぶ (`type`)
「大変更」だからといって、特別なタイプがあるわけではありません。Conventional Commitsでは、まずその変更が**どのような性質を持つか**によって、以下の基本タイプから一つを選びます。
タイプ | 説明 | 例 |
---|---|---|
feat | 新機能の追加(Minorバージョンアップに相当) | feat: ユーザー認証機能を追加 |
fix | バグ修正(Patchバージョンアップに相当) | fix: ログアウト時のエラーを修正 |
refactor | 機能に影響しないリファクタリング | refactor: データベース接続処理を改善 |
chore | ビルドプロセスや依存関係の変更 | chore: 依存ライブラリのバージョンを更新 |
docs | ドキュメントのみの変更 | docs: README.mdに利用方法を追加 |
perf | パフォーマンス改善 | perf: データ取得処理を高速化 |
test | テストコードの追加や修正 | test: ユーザーAPIのテストを追加 |
ステップ2:「破壊的変更」の印を付ける
ここからが本題です。ステップ1で選んだ変更が、**後方互換性を破壊する(既存の利用者がコードを修正する必要がある)**ような「大変更」である場合は、コミットメッセージに「これはBreaking Changeですよ!」という印を付けます。これは、セマンティックバージョニング(SemVer)におけるMajorバージョンアップ(v1.x.x → v2.0.0)に相当します。
印を付ける方法は、主に2つあります。
A. タイトルに感嘆符 `!` を付ける
コミットタイプの直後に!
を付けるのが、最も手軽で分かりやすい方法です。これが「このコミットは破壊的変更を含みます」という、大きな警告サインになります。
例:
feat!: 認証APIのエンドポイントを変更し、v2に移行
💡 zshユーザーのためのワンポイントアドバイス
zsh(macOSのデフォルトシェルなど)では、!
は履歴展開のための特殊文字として扱われます。そのため、そのままコマンドを打つとエラーになることがあります。!`
の前にバックスラッシュ `\` を付けて、エスケープしてあげましょう。
git commit -m "feat\!: 認証APIのエンドポイントを変更し、v2に移行"
B. フッターに`BREAKING CHANGE:`を記述する
より詳細な説明が必要な場合は、コミットメッセージの本文とは別に、フッターセクションにBREAKING CHANGE:`
というキーワードと、その具体的な内容を記述します。
例:
feat: ユーザー管理機能のアーキテクチャを刷新
長年の懸案だったユーザー管理機能を全面的にリファクタリングした。
パフォーマンスと拡張性が向上。
BREAKING CHANGE:
旧APIのエンドポイント `/api/v1/users` は廃止されました。
新しいエンドポイントは `/api/v2/members` を利用してください。
APIキーの認証方法もOAuth2に変更されています。詳細はドキュメントを参照。
!`
とBREAKING CHANGE:`
フッターは、両方同時に使用することも可能です。
まとめ
「大変更」をコミットする際のフローをまとめると、
- まず、変更の性質に合ったタイプ(
feat`
やfix`
など)を選ぶ。 - その変更が**後方互換性を破壊する**場合は、
!`を付ける**か、フッターに`BREAKING CHANGE:`を記述**する(または両方)。
私が作成したソースコードは、今後MITライセンスなどでGitHubに公開していくことを考えています。このようなConventional Commitsの規約に従うことは、プロジェクトの履歴を綺麗に保ち、利用者や未来の自分に変更内容を分かりやすく伝える上で、非常に重要な作法となります。ぜひ、あなたのプロジェクトにも取り入れてみてください!
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