こんにちは、Tech Samuraiです!
先日まで、100g未満のホビードローン「HolyStone HS155」のレビューをお届けしました。手軽に始められるホビードローンは、操縦の楽しさを知る最高の入り口です。しかし、その楽しさを知ると、より高性能で、本格的な空撮が可能なドローンが欲しくなってきませんか?
DJI Miniシリーズのような、100g以上の高性能ドローンを手に入れた瞬間、あなたは新たな冒険の扉を開きます。しかし、それは同時に、ドローンパイロットとしての「責任」を負うことの始まりでもあります。
今回の記事は、100g以上のドローンを購入したあなたが、**箱を開けてから、合法的に、そして安全に初フライトを迎えるまでの全手順**を、時系列でシミュレーションする、完全ロードマップです。手続きは少し多いですが、一つずつこなしていけば決して難しくありません。さあ、大空への準備を始めましょう!
ステップ1:機体登録とリモートIDの準備【義務】
100g以上のドローンは「無人航空機」に分類され、自動車のナンバープレートと同じように、国への**機体登録**が義務付けられています。この手続きは、国土交通省の「DIPS 2.0(ドローン情報基盤システム)」というWebサイトで行います。
- DIPS 2.0でアカウントを作成します。
- 本人確認手続き(マイナンバーカードや運転免許証など)を行います。
- 所有するドローンの製造番号(シリアルナンバー)などを入力して、機体情報を登録します。
- 手数料を支払うと、
JU
から始まる登録記号が発行されます。
リモートIDとは?
これは、ドローンが自身の登録記号を、車のナンバープレートのように周囲に電波で知らせる仕組みです。DJIなどの主要なメーカーのドローンは、機体にこの機能が**内蔵**されているため、DIPS 2.0で機体情報を登録するだけで、自動的にリモートIDの情報も書き込まれます。特別な機器を追加する必要はありません。
ステップ2:ルールの理解 – どこで、どう飛ばせるか?
次に、どこで飛ばすのに許可が必要になるのか、法律(航空法)の基本を理解します。大きく分けて「場所」と「方法」の2つのルールがあります。
A) 許可が必要な「空域」
- 空港等の周辺: 航空機の安全に関わるため、厳しく制限されています。
- 150m以上の上空: 人や物件の有無に関わらず、許可が必要です。
- 人口集中地区(DID)の上空: 都市部のほとんどが該当します。国土地理院の地理院地図などで確認できます。

B) 承認が必要な「飛行方法」
- 夜間飛行
- 目視外飛行(自分の目で見えない範囲で飛ばすこと)
- 人や物件から30m未満の距離での飛行
- イベント上空での飛行
- 危険物の輸送、物件の投下
趣味の空撮でも、街中や夜景を撮りたい場合、あるいは人や建物に近づいて撮影したい場合には、これらの許可・承認が必要になることが分かりますね。
ステップ3:飛行許可・承認申請【ほとんどの場合で必要】
ステップ2で見たような飛行を行うために、事前に国土交通省へ「こういう場所で、こういう方法で飛ばします」と申請し、許可・承認を得る必要があります。これも**DIPS 2.0**で行います。
ここで初心者の強い味方になるのが**「包括申請」**です。
- 個別申請:「〇月〇日に、〇〇公園で夜間飛行します」と、1回ごとのフライトを申請する方法。
- 包括申請(おすすめ):「これから1年間、日本の人口集中地区(DID)以外で、日中に、目視内で飛ばします」のように、一定の条件下での飛行をまとめて申請する方法。
趣味で飛ばす方のほとんどは、この**包括申請**で1年間の許可を取得します。これにより、飛行の都度申請する手間が省け、飛行の自由度が格段に上がります。
ステップ4:保険への加入【任意だが必須と心得る】
法律上の義務ではありませんが、これは**絶対に加入すべき**です。万が一、ドローンが墜落して人や車、家屋に損害を与えてしまった場合、数千万〜数億円の損害賠償を請求される可能性があります。ドローン保険(賠償責任保険)に加入しておくことで、安心してフライトに臨むことができます。
ステップ5:いよいよ初飛行!飛行計画と飛行日誌
機体登録、許可取得、保険加入が完了すれば、いよいよ初フライトです!しかし、飛ばす直前と直後にも、やるべきことがあります。
1. 飛行計画の通報【義務】
許可・承認を得たドローンを飛ばす場合、事前に**DIPS 2.0**を通して「いつ、どこで、誰が、どの機体を飛ばすか」という**飛行計画を通報する義務**があります。これにより、同じ空域を飛ぶ他のドローンとのニアミスなどを防ぎます。
2. 飛行前点検
安全なフライトのために、離陸前に必ず機体の状態をチェックします。
- プロペラに傷や変形はないか?
- バッテリーは満充電で、しっかりと装着されているか?
- 天候は良いか?(特に風速)
- 周囲に人や障害物はないか?
3. 飛行日誌の記録【義務】
飛行後には、そのフライトの内容を記録する**飛行日誌**を作成・保管する義務があります。点検内容、操縦者、飛行日時、飛行時間、飛行目的などを記録します。専用のアプリや、シンプルなノートでも構いません。
まとめ
お疲れ様でした!100g以上のドローンを飛ばすまでの道のりをまとめると、以下のようになります。
- 【購入後】機体登録 (DIPS 2.0)
- 【年1回程度】飛行許可・承認の包括申請 (DIPS 2.0)
- 【年1回程度】ドローン保険の加入
- 【飛行直前】飛行計画の通報 (DIPS 2.0) + 機体点検
- 【飛行!】
- 【飛行直後】飛行日誌の記録
手続きが多くて大変に感じるかもしれませんが、機体登録や包括申請は一度行えばしばらく有効です。これらのルールは、私たちパイロットと、空の安全を守るための大切な約束事です。しっかりと準備を整え、責任を持って、素晴らしいドローンの世界を楽しみましょう!
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