【保存版】ヤング率(縦弾性係数)とは?金属から樹脂まで材料の硬さ早見表

「設計で材料を選ぶとき、どのくらい『硬い』あるいは『しなりにくい』かを数値で比較したい…」
「構造計算シミュレーションをしたいけど、各材料のヤング率ってどれくらいなんだろう?」

こんにちは、Tech Samuraiです!
ものづくりや設計の世界では、材料の「硬さ(剛性)」を正しく理解することが不可欠です。同じ形でも、プラスチックの定規は簡単にしなりますが、鉄の定規はびくともしませんよね。この「しなりにくさ」を客観的な数値で表したものが、今回探検する**ヤング率(縦弾性係数)**です。

この記事では、ヤング率とは何かを直感的に理解できるよう解説し、金属から樹脂、セラミックスまで、様々な工業材料のヤング率を一覧にまとめた、便利な早見表をご提供します。設計やシミュレーションの際の、頼れる相棒になるはずです!


ヤング率とは?「材料の個性」を表す数値

ヤング率 (Young’s Modulus) は、材料の「変形しにくさ」を示す指標です。この数値が大きければ大きいほど、その材料は硬く、変形させるのに大きな力が必要になります。

イメージで理解するヤング率
同じ太さの「鉄の棒」と「ゴムの棒」を、同じ力で引っ張る場面を想像してみてください。ゴムの棒はびよーんと大きく伸びますが、鉄の棒はほとんど伸びません。これは、鉄がゴムよりもはるかに高いヤング率を持っているからです。

  • ヤング率が高い材料(例: 鋼)
    • 非常に「硬く」、変形しにくい。
    • 「剛性が高い」と表現される。
  • ヤング率が低い材料(例: ゴム)
    • 非常に「柔らかく」、簡単に変形する。
    • 「剛性が低い」と表現される。

単位は、圧力と同じPa(パスカル)や、その10億倍であるGPa(ギガパスカル)が一般的に使われます。材料がどのくらいたわむかを計算する際に、このヤング率は不可欠な物性値となります。


【保存版】主要材料のヤング率 早見表

様々な材料のヤング率(目安)を、硬い順に並べた一覧表です。設計したい製品の特性に合わせて、材料を比較検討する際にご活用ください。
(※これらの値は一般的な参考値であり、合金の種類、熱処理、温度などによって変動します。)

材料カテゴリ材料名ヤング率 (GPa)備考
セラミックスダイヤモンド1050 – 1200最も硬い物質として知られる
セラミックス炭化ケイ素 (SiC)450高硬度・耐熱材料
金属タングステン (W)400 – 410高融点・高密度の金属
セラミックスアルミナ (Al₂O₃)370代表的なファインセラミックス
金属鋼 (炭素鋼)206最も一般的な構造用金属
金属ステンレス鋼 (SUS304)193耐食性に優れる。鋼より少し柔らかい
金属チタン合金 (Ti-6Al-4V)114軽量・高強度・高耐食性
金属銅 (Cu)110 – 128導電性・熱伝導性に優れる
金属真鍮(黄銅)100 – 125銅と亜鉛の合金
複合材料炭素繊維強化プラスチック (CFRP)70 – 200繊維の方向や種類に大きく依存
金属アルミニウム合金69 – 79軽量で加工しやすい。鋼の約1/3の硬さ
セラミックスガラス50 – 90種類による
金属マグネシウム合金45実用金属で最軽量級
その他コンクリート30 – 50圧縮に強く、引張に弱い
木材オーク(楢、樫)11 – 12木目方向。硬い木材
樹脂ナイロン (PA)2.0 – 4.0耐摩耗性、自己潤滑性
樹脂ポリカーボネート (PC)2.0 – 2.4高い耐衝撃性
その他ゴム0.01 – 0.1非常に弾性がある

ヤング率を扱う上での3つの注意点

この一覧表は非常に便利ですが、実際の設計で使う際には以下の点に注意してください。

  1. 値はあくまで代表値
    同じ「鋼」でも、成分や熱処理によって物性値は変動します。精密な計算には、使用する材料のメーカーが提供するデータシートを参照するのが最も確実です。
  2. 材料の向き(異方性)
    木材やCFRPのような材料は、力の向きによって硬さが全く異なります(例: 木は木目方向には強いが、垂直方向には弱い)。このような性質を「異方性(いほうせい)」と呼びます。
  3. 温度による変化
    材料のヤング率は温度によっても変化します。一般的に、温度が高くなるとヤング率は低下する(柔らかくなる)傾向があります。

まとめ:設計とシミュレーションに活かす

今回は、材料の「硬さ」「変形しにくさ」を示す重要な指標であるヤング率について解説し、様々な材料の値を一覧表にまとめました。

この表があれば、「この部品を鋼からアルミに変えたら、たわみ量は約3倍になるな」といったことが、計算する前から直感的に予測できるようになります。これは、設計の初期段階で材料選定を行う上で非常に強力な武器です。

ヤング率は、材料力学や構造設計の基本中の基本です。この知識をあなたのプログラミングスキルと組み合わせることで、より高度で実践的なものづくりやシミュレーションの世界が広がります。ぜひ、この一覧表をあなたのプロジェクトに役立ててください!

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